以前、使っていたプロバイダのサービスが終了した為、サイトのアドレスが変わりました。Nの日記もしばらく更新してなかったのですが、これを機会に再度続けます。
最近のトピックスとしては、新しいニキビの塗り薬が発売されました。欧米ではもっともポピュラーに使用されている過酸化ベンゾイル(BPO)が、4月からベピオという商品名で処方できることになりました。
以前から使用されているアダパレン(商品名 ディフェリン)と同じように面皰の形成を抑えてニキビを予防する薬剤ですが、アダパレンより刺激が少なく使い易い薬剤です。
抗菌外用剤と併用すると、なお効果があります。ご希望の方は、診療の時に言ってくださいね。
2015年04月22日
ホームページがリニューアルしました
posted by ドクターN at 14:18| 日記
2012年03月03日
「茶のしずく石鹸」による小麦アレルギー
お雛様の日なので、女性の間で問題になっている「茶のしずく石鹸」による小麦アレルギーについて書きます。
小麦は成人の食物アレルギーの原因の中で最も頻度の高いもののひとつです。特に成人で発症する小麦アレルギーは、小麦摂取後に運動すると、全身に蕁麻疹がでるタイプが多く、小麦依存性運動誘発アナフィラキシー(Wheat-dependent exercise-induced anaphylaxis; WDEIA)とよばれてきました。
ところが、数年前から、このような全身性の膨疹を特徴とする小麦の運動誘発アナフィラキシーではなく、
眼瞼の発赤・腫脹と、顔面の皮膚のかゆみと発赤を認め、その後に全身の蕁麻疹を認める非典型的なタイプの小麦アレルギーが報告されるようになりました。
非典型的な症状を示す患者さんは、皆さん「茶のしずく石鹸」という加水分解コムギを含有する洗顔石鹸を使用していました。
その後の調査により、「茶のしずく石鹸」中の加水分解コムギに対して過敏性を獲得しており、その結果、食べた小麦の成分に対しても過敏性を示すようになっていることが示されました。
同様のケースが多く報告されたため、最終的には2011年5月に、以前販売されていた茶のしずく石鹸の自主回収が開始され、現在は加水分解小麦は含有されていないとされています。
重篤は症状を示す患者さんも多いことから、日本アレルギー学会では、問題を重視し学会のホームページで、「茶のしずく石鹸による小麦アレルギ―についての説明と診断基準を公開しています。
当院でも同様の症状を示す患者さんが受診されているので、アレルギー学会に依頼してテスト液を入手し、
検査できる体制になりました。ご心配の方は、受診してください。
小麦は成人の食物アレルギーの原因の中で最も頻度の高いもののひとつです。特に成人で発症する小麦アレルギーは、小麦摂取後に運動すると、全身に蕁麻疹がでるタイプが多く、小麦依存性運動誘発アナフィラキシー(Wheat-dependent exercise-induced anaphylaxis; WDEIA)とよばれてきました。
ところが、数年前から、このような全身性の膨疹を特徴とする小麦の運動誘発アナフィラキシーではなく、
眼瞼の発赤・腫脹と、顔面の皮膚のかゆみと発赤を認め、その後に全身の蕁麻疹を認める非典型的なタイプの小麦アレルギーが報告されるようになりました。
非典型的な症状を示す患者さんは、皆さん「茶のしずく石鹸」という加水分解コムギを含有する洗顔石鹸を使用していました。
その後の調査により、「茶のしずく石鹸」中の加水分解コムギに対して過敏性を獲得しており、その結果、食べた小麦の成分に対しても過敏性を示すようになっていることが示されました。
同様のケースが多く報告されたため、最終的には2011年5月に、以前販売されていた茶のしずく石鹸の自主回収が開始され、現在は加水分解小麦は含有されていないとされています。
重篤は症状を示す患者さんも多いことから、日本アレルギー学会では、問題を重視し学会のホームページで、「茶のしずく石鹸による小麦アレルギ―についての説明と診断基準を公開しています。
当院でも同様の症状を示す患者さんが受診されているので、アレルギー学会に依頼してテスト液を入手し、
検査できる体制になりました。ご心配の方は、受診してください。
posted by ドクターN at 00:00| 日記
2011年01月01日
日本アレルギー学会
すっかり遅くなりましたが、11月25日(木)と26日(金)に開催された日本アレルギー学会に参加したので、感想を書きます。
興味があったのは、アトピー性皮膚炎におけるバリア構造の異常というテーマでした。
アトピー性皮膚炎の患者さんの「乾燥肌」です。乾燥肌=表皮バリア機能異常と考えられているのですが、これを裏づけるものの一つとして、2006年に、欧州白人のアトピー性皮膚炎の患者さんではフィラグリンという物質を発現させる遺伝子に異常があることが報告されました。
フィラグリンは角層形成の重要なたんぱくのひとつです。フィラグリン遺伝子に異常があればその発現量が減少しますので、角層形成異常(バリア機能異常)の
原因のひとつと考えられます。
この遺伝子異常にはいくつかの違ったタイプがあることや人種差があることも判ってきました。最近の日本人の調査では、アトピー性皮膚炎の患者さんで、約20%程度に
フィラグリン遺伝子の異常が発見されました。
この報告があってから、アトピー性皮膚炎の患者さんには、表皮バリア機能の異常があり、そのためにアレルギーを引き起こすもの(アレルゲン)などが容易に体内に侵入しやすいのでアレルギーが成立するのではないかと考えられるようになりました。
フィラグリン遺伝子の異常が報告されても、現段階で、治療方は変わるものではありません。すべてのアトピー性皮膚炎の患者さんでこのフィラグリンの減少がある訳ではありませんが、皮膚の易刺激性(過敏性)はほとんどのアトピー性患者さんの方に見られますので、炎症を起こさないためには、皮膚を刺激しない、洗いすぎないといった生活スタイルが重要です。
もう一つの話題は、アトピー性皮膚炎には少なくとも2群あるという説です。ひとつはフィラグリンの異常があり、幼少時から発症するIgEが高いグループ(外因性)、もう一群はフィラグリンには異常なく、またIgEも高くない軽症のグループ(内因性、おもに金属アレルギーのタイプ)で、成人に多いという報告です。
これは、私も毎日の診療で経験しますので、金属アレルギーに注意して診療しなければと思っています。
フィラグリンに関するテーマの会場は今回の学会ではどこも盛況でした。今後の、研究報告を待ちたいと思いました。
興味があったのは、アトピー性皮膚炎におけるバリア構造の異常というテーマでした。
アトピー性皮膚炎の患者さんの「乾燥肌」です。乾燥肌=表皮バリア機能異常と考えられているのですが、これを裏づけるものの一つとして、2006年に、欧州白人のアトピー性皮膚炎の患者さんではフィラグリンという物質を発現させる遺伝子に異常があることが報告されました。
フィラグリンは角層形成の重要なたんぱくのひとつです。フィラグリン遺伝子に異常があればその発現量が減少しますので、角層形成異常(バリア機能異常)の
原因のひとつと考えられます。
この遺伝子異常にはいくつかの違ったタイプがあることや人種差があることも判ってきました。最近の日本人の調査では、アトピー性皮膚炎の患者さんで、約20%程度に
フィラグリン遺伝子の異常が発見されました。
この報告があってから、アトピー性皮膚炎の患者さんには、表皮バリア機能の異常があり、そのためにアレルギーを引き起こすもの(アレルゲン)などが容易に体内に侵入しやすいのでアレルギーが成立するのではないかと考えられるようになりました。
フィラグリン遺伝子の異常が報告されても、現段階で、治療方は変わるものではありません。すべてのアトピー性皮膚炎の患者さんでこのフィラグリンの減少がある訳ではありませんが、皮膚の易刺激性(過敏性)はほとんどのアトピー性患者さんの方に見られますので、炎症を起こさないためには、皮膚を刺激しない、洗いすぎないといった生活スタイルが重要です。
もう一つの話題は、アトピー性皮膚炎には少なくとも2群あるという説です。ひとつはフィラグリンの異常があり、幼少時から発症するIgEが高いグループ(外因性)、もう一群はフィラグリンには異常なく、またIgEも高くない軽症のグループ(内因性、おもに金属アレルギーのタイプ)で、成人に多いという報告です。
これは、私も毎日の診療で経験しますので、金属アレルギーに注意して診療しなければと思っています。
フィラグリンに関するテーマの会場は今回の学会ではどこも盛況でした。今後の、研究報告を待ちたいと思いました。
posted by ドクターN at 00:00| 日記